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​マーケティング戦略へのフィードバック

その後、得られた結果を戦略へフィードバックするわけですが、不妊治療経験者の方々にとって、縁組・里親という選択肢を知ってもらうことは有益である、というスタンスを私たちは変えませんでした。たどり着くゴールは間違っていないと判断したためです。これを踏まえ、不妊治療経験者であったことが周囲に知られない配慮があれば、参加者数は増えるのではないか、と考えました。

このことから、イベントの企画コンセプトから「不妊治療経験者にとっての」という文言を全て削除しました。そして、不妊治療経験者に限らず、広く縁組・里親に興味関心がある方々をターゲットに変え、不妊治療経験者であることを周囲に悟られずとも参加できるように、イベント当日の参加までの動線を考えました。

またこれを受けて、イベント名称も「トークセッション:家族のかたち 縁組・里親という選択肢」に改め、プロモーションにおける広告のビジュアルを「赤ちゃんが楽しそうに遊んでいるシーン」に変更し、コンセプトとデザイン表現の統一を図りました。

また、もうひとつ、重要な対策を打ちました。トークイベントの準備を進める中で、1社のNPO法人から協賛をいただくことができたのですが、このNPO法人の代表の方に、ご自身のSNSアカウント上で集客活動を展開いただきました。エバンジェリスト、と言いますが、この他にも、メディア上で発信力のある数名の方々に同じ役割を担っていただき、より多くの潜在参加者が、イベントに参加してみようと考えるきっかけとなる様、プロモーションアプローチを補強する設計を実施しました。

これら戦略・戦術変更の結果、トークイベントの参加申込者数は増加に転じ、イベント当日は目標参加者数を超える54人の方々が参加。また、32名の方から得たイベント事後アンケートの回答中、約2割の方々が不妊に興味関心がある、と回答していました。

まとめ

まとめとして振り返ると、ここでのポイントとなったことは2つ。インタビューされる側の本人でさえ気づいていない、深層心理を探っていくプロセスを辿ることができるかどうか、と、それがトークイベント不参加の真因であると理解して掴み取れるかどうか。という2点でした。ここでは、デザイナーが職能として持ち得ている「観察眼」と、得られた深層心理がどういった性質をもっているのかを理解している「ポストモダンマーケティング」の知識を活用していました。

これを読まれた方の中で、定量データから策定したマーケティングの打ち手で、狙った効果が得られずに困っている、と言ったことはありませんか?もしお心当たりがあれば、ぜひお気軽にお問い合わせ下さい。

※日本デザイン学会発刊『デザイン学研究』Vol.65, No.4, pp.47-54掲載の当団体の研究論文

非営利団体イベントのデザイン戦略改善におけるインサイトの有効性」より引用しています。